工学部だより

「米沢バイオ公開セミナー・シンポジウム」を開催しました

 平成23年3月9日(水)、3月10日(木)に山形大学工学部米沢キャンパス、百周年記念会館で「米沢バイオ公開セミナー・シンポジウム」を開催することができました。本会は、米沢にバイオという新しい風が吹いていることをお知らせし、米沢でバイオ研究が発展できるようになることを祈って開催いたしました。今回は、私たちの体の働きについて特に重要な系である神経系、内分泌系、免疫系のお話を3名の専門家の先生にお話し頂きました。教育セミナー、最先端の研究のどのお話も面白く参加者全員お話に夢中になり、質問もたくさんございました。さて、ここではその中でも神経系のお話を頂いた埼玉大学理工学研究科の塚原伸治准教授の研究内容についてご紹介させて頂こうと思います。
 塚原先生には「脳の性分化機構-雌雄で異なる脳の構造と機能について-」というお話を頂きました。一般に男性らしい、女性らしいという性質は胎児の脳の発達過程の決まった時期に男性ホルモンであるアンドロジェンの曝露を受けるかどうかで決定するそうです。脳の発達時期にアンドロジェンが作用すると脳が男性化(オス化)し、作用しないと女性化(メス化)するそうです。これはヒトだけではなく、マウス、ラット、イヌなど多くの動物でも知られているそうです。ヒトを例に、5歳女児と男児の好む絵を例にご説明くださいました。一般的に、女児は色彩豊かな人物やお花の絵を好んで描き、男児では車やロボットの絵を好んで描くとのことで、大きく好みが異なります。しかし、先天性副腎過形成という副腎皮質ホルモン合成酵素が欠損することで、胎児期から副腎性アンドロジェンが過剰分泌される疾患の女児では、車などの絵を好んで描き、脳の男性化が実際に起こっていることを実際に児童の書いた絵と共にご説明頂きました。また、“性同一性”という自己の性別に関する認識も脳の決まった部位での細胞数やホルモン作用により決定されることが分かりました。さらに、脳の性差として、脳から分泌されるホルモンが男女固有の生殖器に働きかけ、全く別の働きを制御すること、性行動を制御する脳内の部位は男女で異なることをご紹介頂きました。この他、女性、雌の方が甘味を好むことを実験レベルで証明されており、大変面白くお話を聞くことができました。
 工学部学生や一般企業の方、ロボット分野の先生や研究者の方々など多くの幅広い分野の方に参加頂きましたが、多くの参加者から“面白かった”との感想を頂きました。広いバイオ分野のお話を米沢で聞き、“面白い”と思って頂けたことは、開催関係者にとって最高の評価を頂いたと思っております。今後も米沢キャンパスでのバイオ分野のセミナー・シンポジウムを企画しておりますので、是非ご参加ください。