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HOME > 工学部Sathish助教がシンポジウムを企画しました。「ソフトマテリアルの温度勾配を外場とする非平衡系の不可逆的輸送現象」(東海大学 喜多理王 准教授)

日程:平成25年12月19日(月)16:15〜17:30
場所:山形大学 工学部4号館111号室
講師喜多 理王 准教授(東海大学)
講演タイトル:「ソフトマテリアルの温度勾配を外場とする非平衡系の不可逆的輸送現象」
内容:混合流体に安定な温度勾配を与えると温度勾配をドライビングフォースとする成分の拡散とフィックの濃度拡散とのカップリングにより安定な濃度勾配が形成される。これはルードヴィッヒ・ソレー効果または熱拡散、熱物質拡散現象などと呼ばれている。 2成分系では成分1の流束J1は, 濃度勾配∇c1と温度勾配∇Tを用いて現象論的方程式?J1= - D∇c1 - c1DT∇Tによって記述される。ここで, DとDTはそれぞれ相互拡散係数と熱物質拡散係数である。高分子やコロイドなどソフトマターのルードヴィッヒ・ソレー効果は, 測定手法の進歩とともに現象を特徴づける拡散係数が得られるようになってきたが, 複雑な分子間相互作用を有する水溶性高分子やミセル系などでは測定が難しく, また得られた結果の解釈が困難な場合もある。 気体子運動論的解釈では, 成分の運動量や運動エネルギーについての考察から, 重い成分が温度勾配の低温側へ偏ることが導かれる。溶液では成分の質量やサイズに加えて, 分子間相互作用やエネルギーの散逸に関与する粘性率などが濃度勾配の大きさと向きに決定的な役割を果たすことが分かってきた。 これまで, 合成高分子の希薄溶液では, 溶質成分(重い成分)である高分子が温度勾配の低温側へ拡散し, 気体や低分子量分子の混合系の結果と矛盾せず, 高分子が低温側へ拡散する事が経験則となっていた。最近, 複雑な分子間相互作用が存在する水溶性高分子(核酸、タンパク質、多糖類など)について系統的に測定と解析がなされるようになり, 生体高分子や水溶性高分子が温度勾配の高温側へ拡散する異常なルードヴィッヒ・ソレー効果が見出され, そのメカニズム解明のための研究が行われている。本発表ではポリイソプロピルアクリルアミドやポリエチレングリコールまた生体高分子や非イオン性界面活性剤などの水溶液において得られたルードヴィッヒ・ソレー効果についての研究成果を紹介する。

※本セミナーは、テニュア・トラック普及・定着事業(若手研究者の自立的研究環境整備促進)の支援を受け開催しています。